| 表題 | 薬剤散布中止によるマツノマダラカミキリ動態と被害の変化 [鹿児島県] |
| 出典 | 鹿児島県林業技術研究成果集12:2008/07 |
| 執筆 | 鹿児島県森林技術総合センター 森林環境部 川口エリ子 |
| 本文から |
1.背景・目的 マツノマダラカミキリ(以下,カミキリ)の後食を防止するための殺虫剤の散布(予防散布)は、マツ材線虫病に対する代表的な防除手法であり、全国各地で実施されています。しかし、被害林がなくならない現状、環境や安全への懸念などから、散布の効果や必要性に疑問の声、散布中止を求める声があがることもあるようです。そのため、散布の効果や中止の影響を、定量的に把握しておく必要があります。しかし、これまで散布の効果については、散布・無散布区でのマツの枯死率比較が中心であり、カミキリ動態への影響を明らかにした例は全国的にもわずかしかありません。また、中止の影響については中止前からのモニタリング例はありません。 当センターでは、散布地域における被害とカミキリ動態との関係を調べるため、平成14年度から薩摩川内市の薬剤散布実施クロマツ林にトラップを設置し、カミキリ捕獲調査および被害量の調査を実施していました。その調査地一帯で、平成18年度から農薬のポジティブリスト制導入の影響により、薬剤散布が中止となりました。そこで調査を継続し、散布中止前後のカミキリ捕獲数や被害変化のデータから、散布の効果や中止の影響を検討しました。 2.研究の成果 (1) 被害状況の変化 散布中止前から被害が多かった場所(エリアG)とその隣接地(エリアF)では、中止した年から枯死木密度が著しく増加し、中止翌年にはさらに激害化しました。これらの地域に近い場所(エリアE:激害地エリアGから2.5km程度)の枯死木密度は中止した年には変化はなく、翌年になって急増しました。周辺に小規模な感染源がある場所(エリアB)では、中止翌年に枯死木密度が増加しました。隔離された場所(エリアC)では、枯死木密度は調査期間を通じて極めて低く維持されていました。このように、中止前の被害状況や周囲の状況により異なることが明らかになりました。 (2) カミキリ捕獲頭数 捕獲頭数は変動が大きく、枯死木密度との対応が明確ではありませんでしたが、枯死木発生が非常に少ない場所では捕獲頭数も常に少なく、枯死木数が増加した林分では、その翌年に捕獲数が急増しました。しかし、被害の少ない場所(エリアC)でも低密度、低頻度ではありますがカミキリの侵入があるようです。また、空散の中止により、シーズン初期(5~6月)のカミキリ捕獲頭数が多くなる傾向がありました。これらの結果は、予防散布のカミキリ密度抑制と被害拡大防止の効果を示すものと考えられます。 3.普及のポイント 長年散布を行っている地域で被害がゼロにならないと、散布の効果を疑いがちですが、実際には激化しているはずの被害を薬剤で低被害に抑えられているものと考えられます。 散布中止の影響は、その場所の被害履歴によっても異なりますが、・・・・・ |
| ファイル名 | サイズ | 更新日時 |
|---|---|---|
| 鹿児島2008_03.pdf | 36 KB | 2010/02/17 14:31:43 |