| 表題 | ナメコの安定生産技術(5) [大分県] |
| 出典 | 大分県農林水産研究センターきのこ研究所情報誌 くらんぷ 38号:2008/03 |
| 執筆 | 大分県農林水産研究センターきのこ研究所 主任研究員 野上友美 |
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ナメコの子実体発生不良現象は、本菌の二核菌糸体で脱二核化が起こり、共役核分裂が破綻した結果、子実体形成能力を喪失するという遺伝因子に起因するという説が有力です。そこで、子実体発生における核の遺伝的形質発現の経験則を得るために、主導核を固定した品種と従属核を固定した品種を作出し、子実体の発生傾向を比較しました。 1.試験の概要 主導核固定品種の作出は現在県内で使用されている主力品種OMC 5030株のオイディアから分離した一核株50302(交配型の構成はA7)と他品種から子実体を形成し単胞子分離して得られた不和合性因子(A8)を有する一核株を交配させて70株を作出しました。 写真にオイディア細胞から発芽した一核菌糸体を示しますが、この細胞は分生子とも呼ばれ、食用きのこではナメコやエノキタケで菌糸先端部に多数産出されます。 担子器細胞内での減数分裂を経由していないため、不和合性因子などの遺伝因子をそのままの形で単細胞として扱うことができる便利な菌糸細胞です。このような細胞学的な特性からオイディア出来の突然変異株を作出し、連鎖分析や遺伝地図の作製などの研究基盤整備にも応用されています。 従属核固定品種の作出は、同様にOMC 5030株から分離した従属核を有する一核株50305(交配型の構成はA8)と単胞子分離した不和合性因子(A7)を有する一核株を交配し168株を作出しました。交配の様子を示しますが、寒天培地を入れたシャーレ中央部に2種類の一核菌糸を植え付けて、接触した部分を顕微鏡で観祭し、二核化を確認後分離します。 2.結果の概要 上述の方法で作出した核固定品種の栽培試験を行いました。主導核固定の場合、供試70株の50%に相当する35株で良好な子実体が形成され、そのうちの18株で100g以上の収量性が確認されたのに対し、従属核固定では皆無という結果となりました。 この結果から、ナメコの二核菌糸からの一核性オイデイア形成における核の出現の偏りと同様にOMC 5030の二核菌糸に内在する50302(交配型の構成はA7)および50305(交配型の構成はA8)の2核のうち子実体形成の形質発現は平等に行われておらず、主導核である50302(A7)の遺伝情報に大きく左右されることが推測されました。 ナメコの育種を行うにはまず不和合性因子A7を有する優秀な主導核を選抜し、和合性の交配を行った後、選抜を行い、品種の育成をすることが育種の効率化につながるものと考えられました。 |
| ファイル名 | サイズ | 更新日時 |
|---|---|---|
| くらんぷ38_01F.pdf | 273 KB | 2010/02/17 14:02:46 |