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表題 イヌエンジュのコウモリガ被害 [大分県]
出典 林試だよりNo.70、2008/11
執筆 大分県農林水産センター林業試験場 木材加工担当 主任研究員 佐保公隆
本文から  イヌエンジュは、マメ科の落葉高木で、広葉樹として造林され、特に保安林事業では肥料木として植えられている樹木です。
 「イヌエンジュ(Maackia amurensis var.buergeri)」は中部地方から北海道までに自生する日本固有の木で、九州には自生していません。九州に自生しているのは「ハネミイヌエンジュ(Maackia floribunda)」という種です。ちなみに「エンジュ(Sophora japonica)」は中国北部原産で古く日本に伝来し栽培されている木で、別種です。
 イヌエンジュの材は辺材が白っぽく心材が黒っはい色なので、その対比が美しいことから床柱や細工物として利用があります。
 平成19年度に実施した広葉樹造林地調査の中からイヌエンジュについて気がついたことを紹介します。
 調査対象地は平成3年に台風で被災後、主に広葉樹を造林した箇所で、日田玖珠地方が主体でした。調査地に100m2の方形プロットを2から3箇所設置し、成長や被害状況などを調査しました。
 平成19年度の調査ではイヌエンジュは10カ所、計23プロットで確認し、149本の測定を行いました。イヌエンジュ以外ではケヤキとサクラ類がありました。
 成長では、林齢は9年生から12年生で、平均樹高2.6m、平均胸高直径は2.7cmした。これは、ケヤキやサクラ類と比較しても小さいものでした。
 被害状況ではどうでしょう。イヌエンジュの被害としては、被圧害と虫害が見られました。雑灌木やササなどに被圧されたものが49本(33%)、虫害としてコウモリガによる食害が38本(26%)となりました。
 コウモリガは、翅を広げると8-10cmで、茶褐色をしています。
 卵で越冬して4月下旬ころにふ化し、はじめは草の葉を食べ、成長するとヨモギ、イタドリなどの草の茎に入り、6月から7月に草やつるなどを伝って樹木に移勤し穿入します。出入り口は写真-2のような穴で、木によっては枯死したり風などで折れる被害があります。
 いろいろな造林木に被害を与えており、ブナ、ケヤキ、スギなどへの被害報告がありますが、今回の調査ではケヤキに1例の被害がありました。
 コウモリガは、樹木に入る時期が6月から7月ですので、それまでに草やつるを取り除くことで被害を防げると思います。
 雑木やササなどに被圧されたものも多かったことから、適期の下刈やつる切り施業の実施がイヌエンジュへの被害も減っていけばよいのですが。
ファイル名 サイズ 更新日時
大分_林試だより70_03F.pdf 403 KB 2010/02/17 13:13:59