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表題 ニホンジカによる樹皮剥皮害と枝条等を利用した対策 [大分県]
出典 林試だよりNo.70、2008/11
執筆 大分県農林水産センター林業試験場 森林整備担当 主幹研究員 高宮立身
本文から 1.はじめに
 ニホンジカ(以下、シカ)の食性はきわめて多種で、スギやヒノキなどの林木の食害や樹皮剥皮のほか、農作物被害も多く、全国各地で問題となっています。
 林木の被害のうち樹皮剥皮害は、枯損や材質劣化を引き起こす原因となることから、その影響は極めて大きく、被害発生を未然に防ぐことが重要となっています。すでに、シカ用の防護資材がいくつか販売されており、これらを単木ごと幹周囲に取り付けることにより防ぐことが可能となっています。しかし、設置本数を増やせばその分コストが高くなるため、枝条の利用など資材費のかからない対策が求められてきました。
 当林試では、平成17~19年度に「シカによる森林被害の防除方法に関する研究」の中で、枝条を活用した被害対策に取り組んできました。他県の取り組みも併せて報告します。
2.樹皮剥皮の被害形態
 シカによる樹皮剥皮害は樹皮採食や角こすりによって発生します。幹に生じた傷痕の特徴からは、樹幹縦瘍タイプ(写真1a)と木部露出タイプ(写真1b)に区分することができます。樹幹縦傷タイプは、縦方向につけられた溝状の傷が特徴です。木部露出タイプは、樹皮が面状に剥がされたもので、剥皮被害の大部分はこのタイプです。
 被害部位は地際付近から1.3mの範囲内にあることが多いですが、地上高2m付近まで達することもあります。根張り部位が剥皮される被害も発生しています。樹幹の全周囲が剥皮されることは少ないですが、幼齢木では全周剥皮によって枯死する場合もあります。一度被審を受けると、剥皮部位から変色や腐朽が発生し、材質劣化は免れません(写真2)。
3.枝打ちの方法と樹皮剥皮害との関係
1)枝打ちの影響
 表1には場内のヒノキ7年生林分で枝打ちの有無とその後の樹皮剥皮害の発生を比べたものです。枝打ちが無処理と比べ被害率で2倍以上の差がありました。さらに、枝打ちをしたヒノキは、幹周囲の半分以上を剥皮される割合が高くなる傾向がありました。
 枝打ち林分と枝打ちが未実施の林分が隣接するヒノキ林で被害発生率を比較した結果でも、未実施の林分では被害率2%であったのに対し、枝打ちした林分では48%でした。
 このような結果から、枝打ちは樹皮剥ぎを誘因することが分かりました。
2)下枝落しによる軽減効果
 最初に行う枝打ちは下枝払いといい、林内での作業を容易にするため地上1.8m程度の高さの枝を切除します。しかし、この直後に樹皮剥皮の被害を受けることが多く、下枝払いの方法を検討する必要あります。そこで、枝打ちの際、一部の枝を残す工夫により被害を軽減できないか検討してみました。
 試験方法は図1に示すとおりです。地上高1.8mまでの枝を切除する(処理A)、地上高1.2mまでの枝について、基部を10cm残して切除する(処理B)、地上高1.2mまでの枝をそのまま残す(処理C)、これに無処理(処理D)を設け、・・・・・
ファイル名 サイズ 更新日時
大分_林試だより70_01F.pdf 815 KB 2010/02/17 13:04:26