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表題 GPS首輪によるニホンジカの行動追跡技術 [徳島県]
出典 徳島県立農林水産総合技術支援センター森林林業研究所 技術情報カードNo.119:2009/03
執筆 徳島県立農林水産総合技術支援センター森林林業研究所
本文から はじめに
 野生動物の適切な保護管理をするためには行動や生態的な特徴を良く理解することが必要です。しかし,野生動物は常に姿を見ることができないため,その行動を理解するためには姿が見えなくても追跡できる手法が必要です。これまでは電波発信器を装着してその方向探査から位置情報を得るテレメトリー調査が主に用いられてきましたが,最近ではより正確に,少ない労力で大量に位置情報を得られるGPSを用いたテレメトリー調査が利用され始めています。まだ高価な機材(一式40万円程度で周辺ソフトが50万円程度)ですが,平成19年度から徳島大学との共同研究でGPSによるニホンジカ行動調査を開始する機会に恵まれましたので,その技術的特徴や現時点での調査結果について報告します。
1.調査機材について
 今回使用したGPS機材は現在最も使用されているLOTEK社のGP3300というタイプを使用しました(図1)。今までよく用いられていた発信器はVHF電波を発信し,八木アンテナで方向探査をすることにより,位置を測位していました。これに対してGPSは衛星信号をキャッチすることで測位します。本体は約500gでVHF発信器の約100gに対して約5倍の重量になり,動物への負担が大きいという欠点があります(図2)。電池の持続期間は測位スケジュールによって決まりますが,約3000点の測定が可能です。今回は1年間の季節移動や分散過程の解析を目的としたため,2時間毎の測位スケジュールとしました。データは本体に蓄積されるタイプであるため(データ送信タイプもありますが,まだ信頼性が今ひとつ),データ回収には首輪本体を脱落させて回収する必要があります。脱落はリモコンを使って行いますが,その時におおよその位置を把握していないと本体回収ができない場合があり,状況によってはかなりの期間を機材回収に費やしてしまいます。今回の回収期間は最長で1ヶ月,最短で1日を要しましたが,回収ができなければ機材もデータも失うことになり,GPS調査最大の難点と言えます。しかし,費用や回収時の困難に目をつぶってでもGPSを使う利点は,①約3,000点に及ぶ大量の位置情報取得ができること。②24時間自動的にデータ取得ができること。③地形的に調査が困難な場所でも測位ができること。④条件(地形等)が良ければ誤差数mの非常に高い精度を得られること,等があげられます。
2.調査結果について
 平成19年11月から12月にかけて,上勝町で3個体,剣山で1個体を捕獲し,GPS首輪を装着して調査を開始しました(表1)。調査期間は約1年間を予定していましたが,1個体が機械の故障,2個体が死亡により途中回収となり,調査期間を全うできたのは1個体のみでした。GPSが2時間ごとに測位しようとするスケジュール数に対してデータ取得が成功した取得率は上勝の3個体で0.3前後,剣山個体は0.7でした。剣山個体は尾根上での行動が中心で,積雪により短期間で死亡したため,複雑な地形の中で活動していた上勝個体に比べ、高い取得率を得られたものと思われます。とはいえ400点以上のの測位データを取得することができ、通常のテレメトリー調査では考えられないデータ数による解析を可能と・・・・・
ファイル名 サイズ 更新日時
徳島_情報カード119F.pdf 460 KB 2010/02/17 10:13:26